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バイクとの出会い(その4)

当時は50ccもパワー競争が始まりつつある頃でした。しかしまだエンジンの水冷化は始まったばかりだった為、まわりの連中が乗っているバイクはほとんどが空冷エンジンでした。水冷エンジンは高かったのです。

僕が最初に欲しいと思ったのは、昔から憧れのCBではありませんでした。もちろんCB50Sは大好きでしが、CB50Sは結構乗っている奴が多かったのです。できればまわりの奴らが乗っていないバイクに乗ろうと思っていました。また、所詮原付、速さだけを求める訳でもありません。4ストへのこだわりもあり、CB50と同じ縦系のエンジンを積んだバイクから選ぼうと考えました。そこで最初に候補に挙げたのはトライアラー、バイアルスTL50でした。しかし残念なことに僕がバイク購入を決意した当時、既に生産中止となっていました。バイク競技ではトライアルが一番好きになっていた当時でしたので大変残念でしたが、最初の愛車は絶対新車と決めていたので、他を当たることにしました。次に候補に挙げたのはノーティダックスでした。しかし、これも生産中止。XL50という手もありましたがCB50Sと同じ理由でNGです。

他に縦系エンジン搭載のバイクを調べたところ、R&Pというのがあるじゃありませんか。だけどなんかカッコ悪い。CB50やTL50のようにスリムでスポーティでもないし、ノーティダックスのようにアメリカンな感じもない。モンキー/ゴリラほど割り切れてない。アップフェンダーにアップマフラーでなんとなくオフロードっぽいけどそれにしてはやけに幅広い。おまけに5.40-10のタイヤを収めるホイールや前後のがっちりとしたキャリヤが重いせいか、車両重量85Kgとヘビー級。うーん、2ストにしようかな。本気でそう思いました。MB5はあまりカッコよくないけど、MT5は結構イケそうだ。だけど当時のホンダ2ストはあまり興味ありませんでした。やはりCB系の4スト50ccにこだわりがあったので、R&Pしかないか。

ちょうどその頃、一台のバイクが発売されました。「モトラ」という、R&Pと同じ5.40-10のタイヤを履く、横系エンジンを積んだアウトドア丸出しのレジャーバイクです。こいつの売りはサブミッションです。高低レンジ切り替えという、四駆のようなメカを持っています。前後に大型キャリアを装備し、もろR&Pとキャラがかぶります。一瞬悩みました。縦系ならR&P。横系ならモトラ。

しかし冷静に考えました。なぜ横系に興味が湧かないのか。横系では当時、クラッチレバーが付いていたのはゴリラだけでした。モンキーも当時は自動遠心クラッチ+ロータリー3速でした。僕は「バイクはやっぱりクラッチ操作だ!」などと勝手に考えていたので、横系はなじめませんでした。ましてロータリーなんてスーパーカブと同じじゃん、なんて考えていました(ロータリー式には今だになじめませんが)。その点、縦系はクラッチレバーもあるし、リターン式5速だし。やはり縦系だ!

しかも決定的だったのは、スタイルです。確かにモトラは実用性を形にしたような、「質実剛健」というデザインです。しかし、およそバイクらしからぬ形。どこにタンクがあるのか分からないヘンな形、しかもイメージカラー(?)の黄色だと、まるで工事現場の立ち入り禁止の看板のようです。それに比べるとR&Pはなんかカッコ悪い、と言いつつもタンク、サイドカバーがちゃんとあります。だんだんカッコよく思えてきました。そして決定的だったのが、ちょうど発表された最終型のカラーでした。ボディカラーは赤、黒。ホイールはゴールド。それまで見慣れていたのは黄色や白、オレンジやオリーブ、それにシルバーのホイール。それらのどれよりもカッコいい。やっぱり縦系、R&Pしかない!

こうしてR&Pを愛車とすることに決めたのです。