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HONDA R&P

最初の愛車 R&P
砂浜に入ってみた。 動かなかった・・・

いろいろと悩んだ結果、最初のバイクとして選んだHONDA R&P。レジャーバイクにジャンルされるバイクです。僕が購入したのは最終型のブラック。ゴールドのホイールがよく映えます。初期型に比べるとパワーで0.2ps、トルクで0.01kg-m低くなったようですが、そもそも初期型に乗ったことがないので、その差がどの程度なのかは知る由もありません。

当時レジャーバイクに分類されていたのは、ホンダならモンキー/ゴリラ、Dax、モトラ、そしてR&P、ヤマハならボビー、フォーゲル/ポッケ、スズキはバンバン、エポといった、小柄な車体と小径タイヤで、あまり走りに徹したモデルたちではありませんでした。そんな中でも一番バイクらしい形とポジションだったと思います。

車両重量85Kgと原付ではヘビー級の車体にホンダ縦系50ccエンジンを搭載し、ギヤ比をトライアラーのバイアルスTL50と同じくするので、発進加速はたいしたことはありませんでした。母親のパッソルと競争してもきっと負けたことでしょう。友人がクラッチレバーが付いてギヤもリターン式になったモンキーに乗っていましたが、モンキーの方が出だしはよかったと思います。CB50は長い直線があれば最高速90Kmに届くと言われましたが、R&Pはどう頑張っても65Km位しか出ませんでした。ギヤ比の問題もありますし、極太の10インチ小径タイヤですから、仕方ありません。また、この極太タイヤ、いわゆる「立ちが強い」タイヤで、コーナーでもなかなか寝てくれません。まあコーナーを攻めるバイクではないのでさほど問題ではないのですが。それでもコーナーリングを楽しもうとすると、固定式のステップは簡単に接地してしまい、バンクセンサーなどないステップは、ステップゴムを減らしていきます。あまり寝かせすぎると今度はステップが引っかかり転倒するのでは、という恐怖に駆られます。この極太タイヤが本来得意とするところは砂浜ですが、この非力なエンジンでうかつに砂浜に入ると、砂にパワーを食われてしまい、結局なかなか前進しません。

それでもレジャーバイク群の中では大柄なR&Pは、ポジション的には窮屈さも感じず、ヘビー級の車重も安定性に貢献しています。R&Pが本領を発揮するのは、やはりツーリングでしょう。前後に大柄なキャリアを装備していますから、積載能力はかなりのものです。ちなみにリアキャリアはLPレコード(時代を感じますね)サイズだったので、レコードを購入しても持ち帰るのに苦労することはありませんでした。ヘッドライトもレジャーバイクながらハイ/ロー切り替え可なので夜間走行でも不安ありません(というのは嘘で、6Vのバッテリーのせいか、バッテリーが弱くなるとウィンカーの点滅に合わせてライトが暗くなりました)。いっちょ前にリアサスペンションはスプリングの硬さが5段階に調整できますから、状況にあったセッティングが可能です。

大型リアキャリアに荷物を満載し、フロントキャリアにレインスーツをくくりつけ、何度もツーリングに行きました。原付ですから高速道路はもちろん走れません。なので距離を稼ぐようなツーリングはできませんが、原付ならではののんびりツーリングにはうってつけです。ほぼ直立の乗車姿勢で手首や肩、首への負担もなく(ただ、ゆったり目のシートの割には尻は痛くなりました)、足つきの良さとトライアラー譲りのギヤ比で、それこそ道なき道もなんのその。大きなバイクでは気になった風景を見かけても通り過ぎてしまいますが、こいつならすぐにUターンもできます。燃費は思ったほど良いとは感じませんでしたが、同時に満タンにしたモンキーよりは走ります。もちろんタンク容量が違うので単純な比較はできませんが、航続距離はモンキーより長い、ということは確実です。

車重が重いことも、非力で加速が悪いことも、さほど欠点だとは感じませんでしたが、僕にとってR&Pの唯一にして最大の欠点は、タイヤの太さゆえのパンク時の苦労でした。5.40-10のタイヤはもちろんチューブレスなどではありません。しっかりチューブが中に仕込まれています。なので釘など刺さると、あっという間にエアが抜けてしまいます。そうなると、その太さゆえ走行できません。押すのも一苦労です。というか押せません。過去に数回、自宅から離れたところでパンクしたことがあります。ある時は山の中腹でパンクし、どうにも押せないため、近くの土産物屋で空気入れを借り、空気を入れては押し、しぼんだらまた空気を入れ、というのを繰り返しました。通常なら歩いても30分という道のりを2時間かけてふもとまで押して行き、自転車屋さんでパンクを直してもらいました。そしてパンク修理ですが、これがまた一苦労。極太のホイールは3ピースの合わせホイールで、パンク修理の際は、まずホイールを車体から外す。次にホイールをばらす。そしてチューブを取り出し、パンク修理。ホイールを再度組み上げ、車体に取り付け、とやたら手間がかかります。タイヤレバーでホイールからタイヤを外すなんて無理です。ホイールをばらすにもスパナでは無理です。Tレンチがなければばらせません。ホントに自転車だけしか扱っていない自転車屋さんに修理をお願いした時は、わざわざどこかにTレンチを借りに行ってくれました。そんな訳でパンクにだけは本当に手を焼きました。

21世紀になってすぐ、APEというバイクが発売されました。僕はAPEを見たとき、「R&Pのスリム版」という印象を持ちました。モノサスだし、キャリアもないし、ダウンマフラーだけど、第一印象は明らかにR&Pの新たな解釈だと感じました。と言うことはR&Pのコンセプトは悪くなかったと言うことだと思います。実際、R&Pをわざわざこの時代に購入し、スカチューンする若者もいるみたいですから。

10代の頃はいつも一緒でしたが、もっと大きなバイクに乗るようになり、家の物置の片隅に何年も放置していても、キック数十回でエンジンは目を覚ましました。R&Pは壊れにくいバイクです。そんなR&Pですが、さすがに最近はアクセルが動かなくなり(キャブが腐った?)、ずっと動かしていません。購入してから25年も立ちますから、さすがにもう動かないか?とも思いますが、下の子どもも小学校に上がったことだし、久々に直して乗ってみようかと考えているところです。