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クルマとの出会い(その4)

硬派なFRからいきなりのMRかFF。その候補となったのは、トヨタMR-2 1600GリミテッドとホンダバラードスポーツCR-X Siでした。

元々アンチトヨタなところはありましたが、名機4A-Gをミッドマウントした日本発のミッドシップ2シーターのMR-2。しかもリトラクタブルライトとくればスーパーカー世代にはたまりません。横から見ると、かつて憧れたスーパーカーたちほどの薄っぺらさがなく、ずんぐりむっくりした感じなのと、リアスポイラーがないとまるでお弁当箱のような後姿。それでもミッドシップというだけでわくわくしました。

一方のCR-Xも、もともとSOHCの1.5iでもその軽さと超ショートホイールベース&ワイドとレッドを武器に、クラスを超えた速さが評判でしたが、そこにS800以来のDOHCエンジン、しかも当時参戦していたF1と同じゴールドの結晶塗装が施されたヘッドカバーを持つ名機ZCを、やはりS800を髣髴とさせるパワーバルジを持つボンネットの下に収めたSiが遅いはずありません。CR-Xが出たばかりの頃は思いっきり違和感を感じたコーダトロンガも、見慣れればなかなか格好良く見えました。

駆動形式こそ違えど、両車ともショートホイールベース(ちなみにMR-2は2,320mm、CR-Xは2,200mm)と軽量な車体のハンドリングマシーンです。当時は何かとこの2台は比較されました。また、同じエンジンを積む、トヨタならレビン/トレノ、ホンダならシビックも同じように比較されましたが、それらにはあまり興味を示しませんでした。実用性という点ではレビン/トレノ、シビックに完全に分があります。速さと実用性のバランスを考えればそれらにすべきです。完全な2シーターのMR-2には当然実用性など望むべくもなく、さりとてCR-Xも形だけのリアシートですから、五十歩百歩です。やはりクイックなハンドリングを究極まで追及した点と、速さを追求した結果出来上がった形、そこに惹かれたのだと思います。

そして最終的に僕が選択したのは、CR-Xでした。ホンダのバイクに乗っていたのでホンダびいきだったということもありますが、何より決定的だったのは、FFのCR-Xの方がMRのMR-2より速かったということです。随分古い本ですが、僕の手元にある1994年発行の「GOLD CARトップ 筑波サーキット限界テスト300台」の1984年のページを見ると、CR-X Siの筑波サーキットラップタイムは1分13秒61、MR-2 Gリミテッドは1分14秒51と、CR-Xが1秒以上差をつけています。ちなみにこの時のドライバーは中嶋悟でした。参考までに、この年のシビックSiのラップタイムも1分13秒64(ドライバーは津々見友彦)でMR-2より速かったですし、CR-X 1.5iも1分14秒53(ドライバー不明)と、SOHC1500ccエンジン搭載のFFでありながらDOHC搭載のMRに迫る勢いです。

かくして究極のハンドリングマシーン、CR-X Siを愛車とすることに決定したのでした。