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HONDA BALLADE SPORTS CR-X

(まともな写真が残っていません。スミマセン・・・)

初めてのクルマの相棒、ホンダバラードスポーツCR-X Siが僕の元にやってきたのは1985年12月でした。3代目シビック(通称ワンダーシビック)の登場に先駆けて、基本コンポーネントを同じくするバラードスポーツCR-Xが発売されたのは1983年7月です。1985年9月にマイナーチェンジが行われた為、僕のCR-XはAS型の後期モデルとなります。

前期モデルと後期モデルの最大の相違点はヘッドライトです。前期モデルではセミリトラクタブルタイプ(とは言ってもライト自体は固定されており、まぶたのようなふた(?)が上に開くもの)でしたが、後期モデルは輸出モデルと同じ固定式に変更されました。僕はフロントマスクに関してはライトがちょっと奥まったところにある、ちょっとワル目の前期モデルが好きだったのですが、注文した時には時既に遅く、前期モデルは在庫もなくなっていたため、後期モデルを購入することになりました。また、後期モデルではツートンカラーも廃止されてしまいました。僕は黒とグレーのツートンが欲しかったのですが、結局全部黒のボディになりました。ちなみに今の愛車は全部黒のボディが欲しかったのですが、僕が購入する時には黒はまだ単色の設定がなく必ずツートンとなるため、黒とグレーのツートンを選択せざるを得ませんでした。なんとも皮肉なものです。ちなみに初期モデルでは標準装備だったアルミホイールは後期モデルではオプションとなってしまいましたが、前期モデルの純正アルミをわざわざ装着しました。

ホイールベースは2,200mm。1,600ccのエンジンを搭載するクルマとしてはかなりのショートホイールベースです。いかにショートかというと、「トールボーイ」スタイルで爆発的にヒットした初代シティは、その車高からかなりのショートホイールベースに思えますが(実際ショートホイールベースには違いないのですが)、2,220mmありましたし、軽自動車のミッドシップオープンであるビートでさえ2,280mmありました。また、直接のライバルとされていたトヨタMR-2はミッドシップ2シーターながら2,320mmありました。それらと比較してもショートです。そんなショートホイールベースとワイドトレッド(前1,400mm/後1,415mm)の組合せを「スクエアディメンション」とカタログで謳っており、F1のそれとの類似性を強調していたと記憶しています。

また、フロントフェンダーとドアの下半分の外装板が「H・P・ALLOY」という樹脂で出来ている為、非常に軽量に仕上がったという点もCR-Xの特徴です。Siの車両重量は870Kgでした。軽自動車に近い重量です。やはりライバルのMR-2が960Kgでしたから、その軽さがよくわかるというものです。ちなみにこの新素材、復元力に優れているのが売りだったそうで、CR-Xの発表会で、バットでフロントフェンダーを叩き、その復元力をアピールしたと言うエピソードがあったとかなかったとか。

この二つを武器に、加速、コーナリングでは同クラスでは敵なしでした。サーキットのラップタイムでも上級車種に勝るとも劣らない速さを見せました。1,500ccOHCのエンジンを積む1.5iですらそんな状況ですから、ホンダとしてはS800以来の、1,600ccDOHCエンジン、ZC型を搭載するSiではさらにその速さが際立ちました。実際、公道での現実的な速度域では、加速で他のクルマに負ける気がしませんでした。怖かったのはRX-7位です。ハンドリングも、今まで僕自身が運転したことのある車種の中ではダントツでクイックでした。

ZC型エンジンはグロス135ps(ネットだと120ps位?)。トヨタの4A-G(グロス130ps)とよく比較されました。4A-G搭載車を運転したことがないので、フィーリングの違いはわかりませんが、ZCはとにかくよく回るエンジンでした。それでいてロングストロークのため、低回転域も決してすかすかではありません。一旦5速に入れてしまえば、よっぽど急な加速を要求しない限り、40Km位からはずっとギアチェンジの必要を感じませんでした。次の愛車のエンジン(B6-ZE型1,600DOHC)はZCより新しいのに、高回転域の回り具合はZCより苦しげに感じたくらいです。それでいてちょっと元気に走ってもリッター10Kmは走りました。一番燃費がよかったのは満タンで走り出し、600Km位走ったところで給油して35L位しか入らなかった時です。約17Km/L走りました。よく回り、速く、小食。やはりZC型は名機と呼べるでしょう。

速くて、燃費も良いCR-Xですが、一番の弱点はボディ剛性でしょう。当時のホンダ車は一般的にボディ剛性の弱さが指摘されていましたが、CR-Xも例外ではありません。例えば、コーナリングの最中にルームランプが点灯することがありました。コーナーを抜けて直線になると消えます。最初は理由が分からなかったのですが、コーナリング中にボディがゆがみ、ドアとボディに隙間が空くため、ルームランプのスイッチが浮いてしまうのが原因だと、後にわかりました。また、フロントアンダーを路面の段差等に当て続けていると、だんだんボンネットが浮いてくることもよく指摘されていました。僕も一度修理に出して戻してもらったことがあります。まあこんな風にボディが少々軟弱でしたが、本格的にレースをする訳でもなく、普通に公道を乗っている分には致命的な弱点とは感じませんでしたが。きっと数十万キロも乗り続けていれば気になるんでしょうね。僕は11万キロ位乗っていましたが(途中サンドイッチ事故に遭い、前後ともつぶされたことがあります。修理してもらい、乗り続けましたが。)、特に不都合は感じませんでした。

リアシートがほとんど使えないのもCR-Xの特徴です。メーカー自ら「1マイルシート」と呼ぶくらいですから。ご存知かもしれませんが、これは「1マイル位なら我慢できるシート」と言う意味だそうです。別の説として「犬(ワン)も参るシート」というのもあります。いずれにせよ、大人が座るのが凡そ不可能に近いものでした。高さを稼ぐためにえぐられた座面、ほぼ垂直に近い角度と高さのない背もたれ、前席の人が普通にポジションを取ると足がほとんど入らないフットスペース。リアシートに座ろうとすれば体育座りに近い姿勢を強要されます。姿勢を変えることも出来ません。ほとんど拷問です。恐らく当時の4ナンバーの軽自動車のリアシートの方がまだましだったのではないでしょうか。ただ、完全な2シーターだと、本当に緊急の時にどうすることも出来ませんが、まがいなりにもシートがついていれば、人を乗せることができます。その点は完全な2シーターと比較しても大きなアドバンテージになるでしょう。一人なら横座りしてもらえば多少ましでしたし、(本来は違法ですが)リアシートをたたんでしまい、荷台状態にして、転がっていてもらえば、二人で乗ってもあまり辛くなさそうです。

また、荷台といえば、CR-Xはリアの背もたれを倒すと段差のない、真っ平らな荷台となりました。そしてリアシートのえぐれと背もたれの間のスペースは隠しモノ入れのような使い方も出来ました。ハッチドアが寝気味だったので高さのあるものは積めませんでしたが、シングルサイズのパイプベッドを普通に積むことができました(通常安いパイプベッドは縦方向に二つ折りになっています)。また、ドラムセット一式を積載することも出来ました。ただしこの時はさすがに1名乗車となります。助手席にはシートベルトを締めたフロアタムが・・・。

CR-Xには7年位乗りました。スポーツドライビングの楽しさを教えてくれた良き相棒でした。大学時代にはよく思い立って遠出をしました。リアを荷台にし、対角線上に体を横たえれば、結構快適に眠ることも出来ました。燃費の良いエンジンは大学生の財布にも優しかったです。さすがに最近では見かけることもめっきり少なくなってしまいましたが、新車に近いコンディションのものがあれば、また乗ってみたいと思っています。そして今ではRVメーカーかと錯覚してしまいそうなホンダですが、CR-Xのようなクルマを現代に蘇らせてくれるといいなぁと切に願います。CR-X全般については、機会があればまた書きたいと思います。