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Eunos Roadster

Eunos Roadster(NA6CE)
ノーマルで乗っていました

愛車となったユーノスロードスターですが、まず運転席に座ってみて感じたのは、やはりCR-Xに比べてもだいぶタイトな車内空間だということです。CR-Xは仮にもリアシートがありましたし、ハッチバックだったので、ロードスターに比べればタイト感は薄いです。フロントガラスもロードスターの方が立っていますし、リアウィンドウ(?)がビニールだったせいか、後方視界の悪さでは定評のあったバラードスポーツ(2代目にはプリウスやインサイトでもおなじみのエクストラウィンドウが装備された位ですから)よりもさらに悪かったです。また、意外とCR-Xのインパネは開放感がありました。ただ、そのタイト感が悪いものかと言えば決してそんなことはありませんでした。スポーツカーに乗っているのだと感じさせてくれるものでした。

そんなタイトなコックピットもひとたび幌を開ければ一気に開放感が溢れます。ピラー以外に視界をさえぎるものはありません。開放感に関してはサンルーフも、キャンバストップでさえフルオープンには全く敵いません。オープンにするには幌とリアのビニールを繋いでいるファスナーを開けてから幌を畳みます。ファスナーを開けなくても幌は畳めますが、ビニールに折り目が付いてしまうので、お勧めできません。ビニールはかなり丁寧に扱っても、だんだん傷が付き、また経年変化で曇ってきます。2代目以降はガラスになりましたが、それは正解だと思います。ただ、ファスナーを開けると風の通りがかなりよくなるので、換気するには最高です。

スーパーカー世代の憧れ、リトラクタブルライトはコーナーポール代わりにもなり便利です。昼間のパッシングだけは時間がかかりますが、歩行者保護のためとはいえ、リトラクタブルライトのクルマがなくなりつつあるのは寂しい限りです。

僕のロードスターNA6CEスポーツパッケージ仕様でした。ステアリングはユーノスマークの刻まれたパッドを外すことができ(当然エアバッグなどついていません)、外すとMOMOのホーンボタンが顔を出すと言う、ユニークなものでした。パッドがあるとホーンの反応が今ひとつだったので、当然外しっぱなしです。手首だけで決まると言われていたシフトですが、2速だけ渋くて入れづらかったです。聞くところによれば2速のシンクロが弱いとのこと。それでも確かにシフトストロークの短い、スポーティーなものでした。

最初のマイナーチェンジ後のモデルでしたので、運転席側パワーウィンドウのオート化、オートアンテナ(最初期型は脱着式)、トランクリッドオープナー等が装備されていました。パワーウィンドウのスイッチはドアにはなく、運転席と助手席の間にありましたので、助手席からも運転席側の開け閉めができました。トランクリッドオープナーと給油口のオープナーは施錠できるセンターコンソール内にありました。また、グラブボックスも施錠できました。どちらも車内の安全性が通常のクルマ以上に不安な幌ゆえの装備です。ドアの開錠とエンジン始動のみ可能でトランクの開錠ができないキーも付属していました。ホテル等でクルマを預けても安心な装備です。

車内のデザインも豪華さとは無縁なシンプルなものでしたが、アクセルに反応して動く油圧計の針がスポーツ心をくすぐりました(のちに油温計に変更になったそうです)。またメーターまわりにそってシルバーのリングがセットされていました(これも後のマイナーチェンジで廃止になったそうです)。小物入れはあまりなく、手荷物の置き場はシートの後ろだけ。それでも困ることはほとんどありませんでした。トランクもスペアタイヤとバッテリーでいっぱいで、あまり大きなものはつめそうにありませんでしたが、最後の手段として助手席を少し前に出し、スペアタイヤを助手席の後ろに置けば、トランクにもそこそこ物を積むことができました。僕は吹奏楽団でユーフォニウムという楽器を担当していましたが、そのケース(中型のスーツケース位の大きさ)を積むことができました。

ボンネットはアルミ製だったため、とても軽く、当時奥さんが乗っていたAE92レビンのボンネットがやたら重く感じました。指一本で開ける特徴的なドアハンドルも、爪の長い女性には不評だったそうですが、個人的には好きでした。

エンジンはファミリアベースのB6-ZE型。動力性能は十分満足のいくものでしたが、CR-XZCと比較すると、高回転域の伸びはZCに一歩譲ります。あまり引っ張る気にはなりませんでしたね。ホイールベースはCR-Xより若干長い2,265ミリ。十分ショートです。アルミボンネットにFR(実際はフロントミッドシップ)ならではのフロントの軽さとショートホイールベースで、ロードスターもハンドルの切れは大変良かった記憶があります。

Eunos Roadster(NA6CE)
古い写真なのでちょっと色がヘンですがご勘弁

ロードスターは途中から奥さんがメインで乗っていましたが、下の子どもがお腹の中で育ってきた頃、乗り降りのしづらさ、マニュアルミッションの面倒さからオートマの初代デミオに買い換えてしまい、7万キロ位の付き合いでした。かろうじて上の子どもはオープンで走った記憶が残っているかもしれませんが、下の子どもにもオープンの気持ちよさを味あわせてあげたかったです。

ロードスターを購入した年の大晦日、中学からのバイク仲間の友人と深夜に出発して初日の出を拝みに行きましたが、寒い中をオープンで走っていて、「まるで原付をノーヘルで乗ってた頃を思い出すな」なんて会話をしていました。今は原付でもヘルメットは義務ですが、僕らが高校生位の頃は義務化されておらず、冬の夜など涙と鼻水を流しながら走っていました。それに近い感覚でした(もちろんクルマなので涙も鼻水も出ませんが)。でも、意外と冬のオープンも気持ちがいいんですよ。下半身は暖房をガンガンに利かせ、上半身はしっかりと防寒し、冷たい空気を肌に感じる。それでもバイクに比べたら寒さに対しては、はるかに楽です。

また、まだ僕ら夫婦に子どもがいなかった頃のある夜、なに流星群だったかは忘れてしまいましたが、その流星群が一番見えるという晩に、まわりに人口的な明かりがない、海に近い公園の駐車場でロードスターをオープンにして、何十という流れ星を見たこともいい思い出になっています。

もし機会があれば、人生の中で一度くらいオープンカーを所有することをお勧めします。普段と同じ道でも、違った景色に感じられるはずです。僕も今は家族のために我慢していますが、子どもたちが手を離れたら、もう一度ロードスターに乗りたいと思います。

Eunos Roadster(NA6CE)