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クルマとの出会い(その3)

僕が大学生の頃は、ちょうどフェンダーミラーからドアミラーへの移行期でした。また、いわゆるハイソカーが流行りだした頃でした。

金のある奴はマークU3兄弟やクラウン、セドリック、プレリュードなどのいわゆるハイソカー、あまりクルマに思い入れのない奴はファミリアやカローラU3兄弟、ミラージュ、パルサー、シティなど2ボックスに乗っていました。そして走り屋志向の奴はレビン/トレノ、MR2、シビック、RX-7(SA)などを選んでいました。

そんな中、普段バイクの面倒を見てくれていた、バイク屋で働く友人はいすゞのジェミニに乗っていました。この逆スラントノーズに丸目2灯の初期型ジェミニ、外見はせいぜいフォーミュラのアルミを履く位で他はほとんどノーマルでしたが、足回りと排気系をいじり、キャブもソレックス(だったと思う)に交換しており、低回転はスカスカだけど高回転域まで気持ち良く一気に吹け上がるという、バリバリ走り屋仕様でした。この友人は二輪、四輪とも僕の師匠です。

そんな頃、1台のクルマに一目惚れしました。

そのクルマの名は「いすゞべレットGT type R」。オレンジのボディにつや消し黒のボンネット。この格好良さに一発でやられてしまいました。もちろん最初にその存在を知ったのは旧車を特集した雑誌でしたし、僕が普通自動車免許を取得する頃には絶版車、かつ希少車でしたから、手に入れることなど考えもしませんでした。

しかしある日、大学のコンパか何かの帰り道、友だちとアパートまでふらふらと気持ちよく歩いていると、中古屋の店先になんとオレンジボディのベレG-Rが展示されているではありませんか。それが実物を見た最初です。あまりの嬉しさに、近寄って車体周りを鑑賞し、さて車内はどうなってるのかな、と窓から中を覗こうとしました。その時、いきなり懐中電灯の光が僕たちに向けられました。

・・・職質でした。

僕たちはクルマ泥棒と間違えられ、通りがかった警察官に職務質問されてしまいました。もちろん「憧れのクルマが展示されていたのでうれしくて覗こうとしただけ」ということを説明し、事なきを得ましたが、いきなりだったのであせりました。一発で酔いも醒めてしまいました。

まだ普通自動車免許も取得しておらず、予算の関係もあり(というか元手が全くなかったので)ベレットを手に入れることはできませんでした。

筑波科学万博の件を機に普通自動車免許を取得し、いよいよ本格的に車種選定に入りました。

FR、しかも硬派なFRに乗りたかったので、トヨタ、日産は眼中になく、いすゞジェミニZZ-Rと三菱ランサーEXターボ(インタークーラー付)の2台が候補に挙がりました。パワーに勝るランタボか、最終型はエンジン1台1台バランス取りされていたという噂のジェミニか。

しかし!!

ランタボもジェミニZZ-Rも基本設計は結構古かったのです。やはり設計は新しい方がいいし、絶対的な速さ、しかも重い車体を大馬力で走らせるより、軽量コンパクトな車体で速く走る方がいい(これはバイクで学んだことでした)というポリシー(というかこだわりですね。やっとおぼろげながらクルマに対する哲学のようなものが形作られてきました)から、また価格的な点で、それまでのジェミニ、ランタボという硬派なFRという選択肢から、いきなりミッドシップかFFか、という真逆な選択肢となりました。

最終的に選択したのは・・・