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自転車との出会い(その1)

自転車との出会いは、遡ること小学一年生です。

それまで、僕の愛車は「三輪車」でした。しかし幼稚園にもなると、普通にシートに腰掛け、フロントホイールに直結したペダルをやたらキコキコとこぐ様な非効率的なことはしません。後ろのステップに片足を掛け、別の足で地面を蹴って勢いをつけて前進しました。その一方で、車体をひっくり返し、フロントホイールの中にその辺に落ちてる石を入れ、ペダルを手で回し、「お芋屋さん」と称し、ごっこ遊びに呆けていました。

大好きだった三輪車も、幼稚園卒園がそろそろ気になる頃になると、だんだん乗らなくなってきます。だって三輪車と言えばお子ちゃまの乗り物。もうすぐ小学生になる身には幼稚過ぎます。そうこうしているうちに小学校入学。まだ行動範囲は家の近所だけなので、徒歩の生活にも不便は感じません。当時は現在住んでいる、一番近いコンビニまでも歩けば20分近くかかるような田舎ではなく、地方都市ではあるけれど、小さな商店街が点在する、所謂下町、って感じのところに住んでいましたので、小学一年生の足でも公園だって駄菓子やだってスーパーだって数分の圏内。歩く生活が当たり前でした。

そんなある日、近所のお兄さんが自転車の乗り方を教えてくれる、と言い出しました。持ってきたのは、近所のお姉さん(と言っても確か2歳位しか違わない)が乗っているのより少しだけ車輪が大きい自転車でした。それでも子ども用なんですがね。補助輪なんて当然付いていません。

「これで練習するの?」

三輪車を卒業した子どもはまず補助輪の付いた自転車で自転車とのファーストコンタクトを向かえ、十分乗りこなせるようになったら「いよいよ補助輪取りますか」っていうステップを踏むのだと思っていました。もっとも、当時、我が家には子ども用補助輪付自転車などという高級品はありませんでした。父が通勤に使っている、ごっつい実用車が我が家のファーストカーであり、全てだったのです。自転車を貸してもらえるだけありがたいと思わなきゃ・・・仕方なくお兄さんの自転車で練習を始めました。

今の子たちが当時の子どもより運動神経が劣っているとは思いませんが、我が家のお子ちゃま達は補助輪を取るのに随分苦労しましたが、なんと当時の僕は練習を始めたその日の夕方にはいっちょ前に自転車を乗りこなしていました。だから自転車の練習に苦労した記憶は全くありません。

それからは、自転車を所有している友だちを見つけては、借りて乗り回していました。ついには「三角乗り」(大人の大きな実用車は小さな子どもではサドルに跨るとペダルに足が届かないので、三角フレームの間に片足を突っ込んでペダルを漕ぐという、とっても器用 & 危険な乗り方)ができるまでになっていました。我が家だけでなく、子ども用自転車など所有している家は少なかったため、親の自転車を乗るしかなく、そんな曲乗りしてまで子どもたちは自転車を楽しんでいたのです。