Tom's Toy Boxsince 2008

購入以前(その3)

それから一年後位に、やはりよくつるんでいた別の友人が、NECのPC-9800シリーズ(やはり型番はわかりません)を購入しました。そいつのPCには、何でも「フロッピー」というものがついているそうです。それがあると、ソフトをロードするのにラジカセは要らないらしいということで、仲間内で「それは凄い!」と盛り上がりました。

さっそくPCを見に、友人宅を訪れました。そこには、普段見ているテレビとは別に、ディスプレイが鎮座しており、その脇には「シリアルプリンター」も置かれていました。そこにセットされている用紙は、電算の授業でコンパイルした時のコンパイルリストが出力されるのと同じようなものでした。

「すげーじゃん」僕は最大級の賛辞を友人に送りました。友人はやはりゲームソフトを一緒に購入したとのことで、さっそく見せてくれました。

そのPCには、本体前面に二つのスリットがついており、友人はその一方に薄い正方形の封筒のようなものを差し込みました。それがフロッピーディスクでした。僕と同世代の人はご存知だと思いますが、いわゆる「5 inch」のFDでした。

「もう片っ方には何が入ってるの?」ゲームソフトのフロッピーを差し込んだのとは別のドライブにもFDが刺さっているのを見て、僕は友人に尋ねました。友人は、「これ刺しとかないと動かないんだよ」と言いました。どうやらOSが入っていたようです。これも今のPCしか知らない方には信じられないことかもしれませんが、当時のPCは、OSがフロッピーに入っていたのです。そして友人のPCにはハードディスクなど搭載されていませんでした。

それでも、先の友人のPCとは違い、プログラムのロードにはさほど時間がかからない上に、ロードエラーも起こることなく、無事ロードは完了しました。

そこに現れたのは、線だけ(つまり輪郭だけ)で構成されたダンジョンを何面もクリアすると言う、なんだかよく分からないゲームでした。しかし、そのシンプルなゲームにはまり、ハイスコアを出すために、友人と深夜までそのゲームにのめり込みました。

「これは凄い!」と思ったのもつかのま、その友人は次に「ファミリーコンピュータ」なる代物を購入しました。そのゲームはPCのものとは違い、カラーで音も出て、輪郭だけではなく、キャラクターが動きます。まるでゲームセンターのゲームと変わりません。あっという間にPCブームは去ってしまいました。

僕の学生時代は、こんなPCライフだったのです。

他に、SonyのMSXのPCを購入した友人がいました。そのPCは、音楽に特化したものらしく、一緒にPCのではなく、音楽のキーボードも購入し、そのPCにプリセットされている音源の中から、いろいろな音を聞かせてくれました。傑作だったのは「宇宙人の足音」というやつでした。「シュシュシュシュ」と、よく分からない音が、ちゃんと音階になってPCから発せられました。

僕も何十年ぶりかで「MSX」なんて言葉を発しましたよ。いつの間にか廃れちゃったんですね。